- CSにおける指標(数字)の重要性
- 企業の各ステージにおいて必須となる指標
はじめに -KPIがなぜ必要なのか-
みなさん、こんにちは!
カスタマーサクセスの個別の活動が果たして期待通りなのか、また期待を下回っている場合にその原因は何なのかは、比較可能な定量化された指標・ KPI がなければ、特定することはできません。つまり組織のボトルネック特定のためには指標(数字)が必要なのです。
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これに加えて、こうしたKPIを他の属性情報と組み合わせることで、今の顧客の状況について、組織に共通理解を持たせることも可能になります。
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今回は、これまでご紹介してきたカスタマーサクセスにとって重要な指標をまとめて、「あれもこれも」とならないように、企業のステージと共に優先順位をつけてご紹介します!
シード期から必要な指標
シード期はまだカスタマーサクセスの基礎が必ずしも固まっていない状態かと思います。
果たして自分達のプロダクトは売れるのか、という不安を抱えながらの状況ですので、この時点で掴んでおく指標は最低限で良いでしょう。
ARR(MRR)
ARR は、”Annual Recurring Revenue”の意味で、「年間経常収益」ともいうように、年間(で繰り返し発生する)売上のことを指しており、リカーリングで発生する年間の売上を合計した金額です。 MRR は、”Monthly Recurring Revenue”で、「月次経常収益」というように月単位(で繰り返し発生する)売上を指しています。つまり、自分達のプロダクトがどれくらい売れているのかを表す指標となり、後述する多くの指標のベースになります。
顧客数
自分達のプロダクトが、どれくらいの顧客に使ってもらえているのかを知るために、顧客数は、ARR(MRR)と並んで超基礎指標です。
実は受注前の見込み顧客の方々にとっても(プロダクトに関する信頼性や稟議のために)気になる数字で、尋ねられることも多いことから、CSというよりは会社としてきちんと追いかけるべき指標です。
超基礎指標と記載しましたが、有料のトライアルや基本プランと異なる契約を契約を結んだり、柔軟な対応を初期に実施することも多くあるので、MRR・ARRとともに、この時点できちんと正しい数字を取れるような習慣を作れないと、顧客数が増えた時に正確な数字を算出するのに非常に苦労します。筆者も実はここで結構苦労したので、本当に顧客が少ないうちにきちんと仕組みづくりをしておくことをお勧めします。
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1人目のカスタマーサクセス入社後に必要な指標
ようやく「カスタマーサクセス」が組織として立ち上がるフェーズです。ここから少しずつカスタマーサクセスとして必要な指標をトラッキングしていくことになります。
とはいえ顧客が増えてきて、オンボーディングプロセスを構築したりとやるべきことも多い時期なので、基本的な指標をしっかり押さえることを意識できると良いでしょう。
オンボーディング完了率
とにかくオンボーディングをきちんと終える顧客を増やして、成功例を多数作っていくことが必要になる時期です。
このため、オンボーディングを完了した顧客をバイネームで特定しつつ、完了率もトラッキングできるようになっていると良いでしょう。
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ヘルススコア
前述の通り、顧客の成功例が増えてくるタイミングですので、この機会に顧客の「良い使い方」を数値的にも表現できるようになっていると良いでしょう。
もちろんこの段階では、ヘルススコアに活用できる数値は限られていると思われるので、以下の記事で言及したように、プロダクトの利用状況をベースとしたヘルススコアであれば問題ないでしょう。
顧客のヘルススコア作成の目的
ヘルススコア作成に当たって活用できる指標の例
ヘルススコア作成の手順
プロダクト利用率のヘルススコアへの反映のさせ方
はじめに
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シリーズAまで
CSの業務上の必要性はもちろんのこと、シリーズA以降の調達に当たって、具体的にどういった数字を残してきたのかを示していくことが必要になってきます。巷でよく言われているCSにとっての重要指標はこの時点で全て出揃う形になっていることが必要になるでしょう。
チャーンレート
カスタマーサクセスにとっては、言わずもがな重要な指標です。
具体的な算出方法などは以下の記事に記載の通りですが、まずはMRRベースのチャーンレート(グロスレベニューチャーンレート)と顧客数ベースのチャーンレート(カスタマーチャーンレート)が算出できることが必須になります。
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NRR
こちらも近年非常に重要な指標とされています。
チャーンだけでなく、アップセルも含めて、トータルで顧客のMRRがどれだけ伸長しているかを把握できる指標となります。
算出方法は以下の記事でご紹介していますが、やや抽象度の高い指標なので、実際のCSのネクストアクションに結びつけるためには、前述したチャーンレートと後述するアップセルレートのそれぞれを追いかけていくことが必要になります。
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NPS®︎
これまでの指標とは異なり、顧客の定性的な側面を指標化したものになります。
具体的には、ユーザーが「他人にどれだけこのプロダクトをおすすめしたいか」という質問を通して、顧客満足度を超えたプロダクト認知の広がりの可能性を表す指標になります。
この指標をKPIとしてプロダクトの改善を進めることもできますし、良好なスコアの場合には、近い将来のプロダクトの広がりを投資家などにアピールすることもできます。
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その他状況に応じて採用する指標
LTV
LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」と言われ、顧客が取引開始から終了までどれくらいの利益をもたらすかを表した指標です。
SaaSのリカーリングモデルでは、定期の売上が長期間にわたって保証されていることがビジネスモデルとしての強さになるため、LTVが最終的に事業の強固さを表す指標になります。
基本的には必須級の指標なのですが、上記の通り、事業全体としての数字のため、このセクションに記載しています。
リカーリングモデルを取っているビジネスにおけるLTVの算出方法は、以下の通りです。
アップセルレート
チャーンが一定水準に保てている状況になったら、次は事業成長に直接的に寄与するために、アップセル・クロスセルを伸ばしていくフェーズに入ります。
その状況を認識する方法として、アップセルレートが有用です。
既存のMRRに対して、何%のアップセル(クロスセル)が獲得できたかをKPIとして持つことで、CSの企業成長への寄与度を測ることが可能です。基本料金+従量課金などのビジネスモデルを取る場合には、相対的に重要度も上がりますね。
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CSAT
CSAT(Customer Satisfaction)は、顧客満足度を示す指標です。
一般的には、非常に不満・不満・普通・満足・非常に満足の5段階で、顧客の感情をスコア化します。
各社で少しずつ基準が異なるケースもあったり、また、収益への相関性も必ずしも高くないとされているため、現在はNPSの方が優先度が高くなっています。
まとめ
ここまで、カスタマーサクセスでよく活用するKPIをまとめてきました。
プロダクトが異なれば、CSの具体的な業務範囲や実際の活動内容は各社で少しずつ違いますが、こうした指標は、多くが共通の定義を持つものでもあるため、一般的な水準を知ることで、自社の状況をどのように評価すれば良いのかわかる、という良さがあります。
是非こうした数値をきちんと取得し、分析する習慣づくりを進めて行けるようにしましょう!