再現性あるアップセルのために!CSQLとは?

  • 「CSQL」とは何か
  • 「CSQL」の各フェーズのポイント

はじめに

みなさん、こんにちは。

今回は、現在カスタマーサクセスにも求められるアップセルをより再現性高く実行していくための設計方法、特に「CSQL」の活用方法についてまとめていきます。

アップセルとは?

以下の記事でもご説明している通り、既存の顧客から頂戴する金額を上げることを指します。提案する内容によって、クロスセルやエクスパンションと表現されることもあります。

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直近のCSは、”Customer Success 2.0”と言われる中で、継続率の維持だけではなく成長への寄与を求められており、アップセルもいかに継続的に、また計画的に発生させることができるかが重要です。その観点では、いかにアップセルやエクスパンションのKPIを設定して管理していくかが重要になります。

McKinsey & Company

Can software vendors and other companies identify more oppor…

CSQLの活用

アップセルに関するKPIを設定する上で重要なのが、CSQL(Customer Success Qualified Lead)という概念です。既存顧客の中から創出されるアップセルについてのリード(見込み客)を指しています。

Given that CSMs interact closely with customers, they can identify customers who want to expand. This potential expansion, identified by Customer Success, is a Customer Success Qualified Lead (CSQL).

GainsightCSQLs: Creating an Integrated Journey from Sales to CS and Back Again“より引用

営業を中心に受注までのプロセス管理を効率的に行うフレームワークに「 The MODEL 」がありますが、CSQLもこれと同じように受注後顧客のアップセルのためのフレームワークとして考えると良いでしょう。具体的には、アダプションフェーズに差し掛かった顧客から、アップセルやクロスセル・エクスパンションする確率が高い顧客を絞り込んでいくために用います。

言い換えれば、このCSQLを定義することができれば、CSとして目指していくアップセルの金額を定めれば、それを達成するために、どれくらいの機会(商談)を作り、どれくらいの企業をその候補としてリストアップするべきか、と逆算的な発想を持つことができるようになります。

以下、典型的なCSQLの分類方法として紹介されているステップをご紹介します。

①アダプション(定着)

通常は、エクスパンションやアップセルをする顧客は、現状使っているプロダクトやサービスを一定程度理解し、活用している状態であるはずです。つまり、原則としてはオンボーディングが完了して初めて、アップセルに対するリードとなり得ることになります。

まずはアダプションフェーズに顧客を移行させることが全ての始まりになります。

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②ナーチャリング(温度感の向上)

アダプションフェーズに入った顧客に対して、次のエクスパンションやアップセルをいきなり提案してもピンとこない可能性が高いでしょう。一般に顧客に新たに商品を売る場合にも、いきなり商談を作るということはなく、いわゆる「カスタマージャーニー」に乗せて、顧客が「買いたい」という状態を作ることが必要になります。このアクションをアップセルしてほしい顧客に対しても実施するイメージです。

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このアクションのHow Toは、一般的にインサイドセールスの活動が参考になり、コンテンツの活用も非常に有用です。ただし、ナーチャリングする相手が、既存の顧客であるということの特殊性は意識する必要があります。

つまり、インサイドセールスの場合にはほぼ初対面の顧客に対してのコミュニケーションになるため、細かい事情までは限られた電話での会話の中では把握できず、一般的によくある課題ベースでの会話、情報提供、提案が中心になります。

一方で、CSの場合は既にオンボーディングプロセスの中で、その顧客が抱える解決したい課題を具体的に把握できているはずです。このため、メールマガジンのような汎用性が高い手段だけでなく、顧客とのミーティングによるカスタマイズされたナーチャリングが可能ですし、必要になると考えられます。

③オポチュニティ(機会の創出)

ナーチャリングによって、温度感が高まった顧客に対しては、より具体的にアップセルの商談を設定し、クロージングへ向かいます。

ここでしっかりと商談が設定でき、また受注できるかは、いくつかの要素によって決まると思われます。具体的には、

  • 今、アップセルやエクスパンションによって解決する課題の喫緊度
  • プロダクトやサービス(場合によっては担当CSM)に対する信頼感
  • 予算捻出が可能なスケジュール感

といった点を挙げられるでしょう。逆にこういった要素において、必ずしも機が熟していない顧客に無理に商談の機会を創出しに行くことは(自社のリソースとの関係でも)必ずしも得策ではない可能性が高いです。

従って、上記の要素についても、ヘルススコアや決算期などの情報をしっかりと可視化できるようにデータベース化を進めることが必要になります。

アップセル商談は誰が行うべきか?

アップセル商談の担い手は、組織によって異なりますが、①顧客の担当CSM、②CSチーム内のアップセル担当、③CS以外のチーム(セールスなど)が考えられます。まだ組織全体が未成熟で、リソースも限られている場合には、①顧客の担当CSMが実施することがほとんどかと思います。これに対して、少しずつ組織が拡大してきた場合には、②CSチーム内のアップセル担当や③セールスチームなどが、専門部隊として役割を担うのが望ましいでしょう。

まとめ

筆者自身もアップセルなど成長ドライバーのKPIの設計は、道半ばで、試行している最中です。そういった中でCSQLについては、これまで自分達が収集してきた顧客に関するデータを組み合わせて考えるシーンの一つであり、顧客をミクロとマクロそれぞれの視点で観察することが必要になるというバランス感覚の観点で、難易度が高いアクションになると考えています。

自分も試行中ですので、ともにより計画的で安定的なアップセルを創出できるベストプラクティスを一緒に探していければと思っています!