実体験から振り返る、CS立ち上げ時にやっておいてよかったアクション3選

  • カスタマーサクセス立ち上げの際にやっておいた方が良いアクション3選
  • やっておいた方が良いことのメリットと注意点

はじめに

みなさん、こんにちは!
2年半前にカスタマーサクセスのキャリアを始めた自分は、最初は一人CSとして、何の知識もない状況でのスタートになりました。

そんな手探りの中で、今思えば当時、CS立ち上げ当初(イメージとしては、顧客数が1050社程度あって、カスタマーサクセスの専任者を初めて据えるようなタイミング)だからこそやっておいてよかったと感じるアクション3つをまとめていきます!

やっておいてよかったこと①-とにかく顧客と話すこと-

自分にとって最初によかったのは、「顧客ととにかく話すこと」でした。CSの基本ですね。

当時、必ずしも顧客の全体像がわからない中で、顧客の個別の声をまず聞くことにしたという形でしたが、顧客が具体的に感じていることや求めていることを知るのに非常に役立ちました。ちょうどコロナ直前だったので、1日に何箇所もオフィスを回ることもありました。

具体的メリット

イメージが付きやすいと思いますが、顧客が感じていることを「その場で」深掘りできるのが非常に良いポイントです。
もちろん、どう感じているかをアンケートやメールなどで知ることはできますが、その理由まで深掘りすることは、こうした手段では非常に難しいです。この深掘りした理由が表面的ではない、顧客の根底のニーズを知ることに繋がりました。

特に、機能要望を聞く際にこのメリットは顕著です。
例えば「検索機能が欲しい」という要望があった場合、字面通り受け取れば要望は「検索機能が欲しい」ということですが、要望する背景(この機能によって実現したいこと)によっては、実は検索機能がソリューションとして適切ではない場合もあります。一例ですが、検索して何度も同じデータにアクセスするだけであれば、検索ではなく「お気に入り機能」の方が使い勝手が良いかもしれない、といった具合です。

このアクションのポイント

上記の例でもそうですが、顧客が話してくれることは、もちろん間違ってはいないのですが、断片的だったり、一方向的だったりします。顧客を疑うわけではありませんが、最初に顧客から言われたことを、意識的にそれが全てだとは思わずに、徹底的に掘り下げていくことで、一歩踏み込んだインサイトが得られるのでオススメです。

やっておいてよかったこと②-とにかくオンボーディングを目指すこと-

殆どの場合、カスタマーサクセスが顧客とタッチポイントを持つ最初のきっかけは「オンボーディング」です。よく言われている通り、オンボーディングに失敗すると次の更新のタイミングでのチャーンの確率は飛躍的に上がります。

多くのカスタマーサクセスにとって最初に取り組むべきは、チャーンを防ぐことですから、まずは「その顧客」をなんとしてでもオンボーディングさせるように注力するのがオススメです。

オンボーディングの型化が気になったらこちら!

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具体的メリット

短期的には、もちろんこのプロセスを経た企業が、オンボーディングしてプロダクトを使いこなしてロイヤルユーザーとなってくれる可能性が高まることになります。特に最初期は、こうしたユーザーが一定数存在することで、彼らの成功パターンを横展開できるようになることから非常に有意義です。

また、顧客数が50社を超える頃には、オンボーディングプロセスを型化することが必要になってきます。その際に、きちんと個別の顧客に向き合って作り上げた具体的なプロセスの蓄積があると、その中から必要性が高く、効果が高い要素を抽出して、効果的なオンボーディングプロセスを作ることができます。これが結果として、チャーンレートを低い水準で安定させることに繋がります。

このアクションのポイント

本当に最初は、プロダクトを活用し始めるに当たって、何をどこまでガイドすれば良いかの水準感をつかむのが難しいと思われます。このため、この時点では型化したり全体最適を目指すことはあまり考えない方が良いように思います。まずは目の前の具体的な顧客のオンボーディングから目指して、その後帰納的に全体的な施策に落とし込むと良いでしょう。

「ミーティングだけでOK?!カスタマーオンボーディングのプロセス設計の基礎」より引用

やっておいてよかったこと③-顧客情報の一元化-

前記の2つとは異なり、少しマクロな視点からのアクションになります。顧客数があまり多くない段階で顧客情報を一元管理できるように、データベース化を進めておくことは、その後顧客の数が増えた時に効いてきます。

具体的メリット

マクロな視点から施策を検討する際に、顧客に関連する情報を俯瞰して見られる環境が非常に役立ちます。例えば、属性毎に顧客を分類して、ユーザーの利用状況の傾向をその分類毎に俯瞰するような日常的な使い方はもちろんのこと、調達時などに投資家に現状のユーザーの全体像を示す際にもこういった一覧が役立ちます。

当然ながら、顧客の数がそれほど多くない場合には、あまりメリットは感じないかもしれませんが、100社を超えてくると(記憶で把握するのも限界を迎えますので)効いてきます

このアクションのポイント

CRMのようなツールで一元管理できればベストですが、もちろんエクセルやスプレッドシートなどで管理することでもOKです。
仮にこういった表計算アプリケーションで作成する場合には、一元管理とはいうものの、顧客の基礎情報を中心に据えてこれを参照しつつ、利用状況や契約情報などの性質毎にシートを作り分けて管理すると、ノイズが入らずに必要な情報だけが集約され非常に使い勝手の良いデータベースになります。

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まとめ

今回は自分の経験に基づいて、当時やってよかった(今にも活きている)アクションをまとめてみました。
特に SaaS は売上が急成長することで、去年までのオペレーションが急に通じなくなるということも起きえるものです。もちろん目の前の顧客のサクセスが何よりも大事ですが、その中で多少なりとも近い将来の変化に備えられたら良いと思います!