カスタマーサクセス基礎①-カスタマーサクセスとは

  • カスタマーサクセスの定義
  • カスタマーサクセスの主な業務内容
  • 営業職やサポート職とカスタマーサクセス職の違い

はじめに

みなさん、こんにちは!
今回は、最近よく耳にする「カスタマーサクセス」とはそもそもどういったものなのか、基本的な業務内容や従来の職種との違いを見ていきます!

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセス(Customer Success)は、直訳すると「顧客の成功」ですが、この言葉は、特定の業務内容や職種を示す場合もあり、非常に多義的です。

ここで注目したいのは、カスタマーサクセスを学ぶ上で非常に重要な存在である、Salesforce社です。
同社では、「カスタマーサクセス」をコアバリューとして掲げており、それは単なる業務や職種の域を超えています。このように、実はカスタマーサクセスは顧客の成功とこれに繋がる全ての活動を全て含んだ概念的なもの、文化に近いものと考えるとしっくりきます。

カスタマーサクセスが注目されている背景

近年カスタマーサクセス(以下、CS)が注目されている背景には、サブスクリプションモデルやリテンションモデルと表現される売り切り型ではない、継続的な売上をユーザーから得るビジネスモデルの存在があります。このような形式で製品を販売する企業側からすれば、先行投資を回収して、利益を出すために、いかに継続して自社のサービスを使ってもらうかが非常に重要になります。

仮に解約されても新規顧客で補えば良い?
上記で「継続して自社サービスを使ってもらうことが非常に重要」と書きましたが、この点は、数字でより明確に認識することができます。
つまり、たかだか数%の解約率でも、数年間にわたりその解約率が継続してしまうと、新規顧客を獲得しても補えないほど企業の成長に深刻な影響を与えることになります。逆に既存の顧客からの追加契約(アップセル)を勝ち取ることができれば、その数字は飛躍的に成長します。その意味で、継続して自社サービスを使ってもらい、顧客の成功を達成することが非常に重要になるわけです。

カスタマーサクセスの具体的役割と主な業務

CS業務の全体像

カスタマーサクセスのコアに当たる業務とその周辺に存在する関連業務 はじめに みなさん、こんにちは! 今回は、カスタマーサクセスの組織の業務範囲とその役割分担を定めるにあたって、カバーする可能性がある10個の業務[…]

そして、製品を継続して使ってもらうためには、「このサービスは、購入時は勿論のこと、今もあなたにとってメリットをもたらすものですよ」ということを積極的に、また各ユーザーにフィットする形で個別的に示し続けなければなりません。また、さらに進んでその商品を好きになってもらう必要もあります。それは売ることが役割の営業職や聞かれた質問に答えるサポート職とは、類似する点もありながらも、大きく違う役割となります。

こういった活動の指針になるのが、以下の記事に記載したカスタマーライフサイクル(≒カスタマージャーニー)になります。

関連記事

カスタマーライフサイクル、カスタマージャーニーの意味 SaaSにおけるカスタマージャーニーの具体的な内容とポイント はじめに みなさん、こんにちは! 本記事では、カスタマーライフサイクルをベースに、サクセスを[…]

これらの各要素のうち、具体的によくあるカスタマーサクセスの業務内容は以下の通りです(主にBtoB SaaSを想定しています)。
これらを各社の「 CSM (カスタマーサクセスマネージャー)」という名の各メンバーが遂行していきます。

オンボーディング

特に SaaS の製品を購入してもらった場合、使い始めが重要です。

よくあるのは、使い始めたは良いが、どう使って良いかわからず最初に触ったきり、数週間〜数ヶ月放置してしまい、その後立て直すこともできず、次回更新の際に解約してしまうケースです。

こういったことを避けるために、まずは導入とともに、ユーザーが何を達成したいのか(=顧客のサクセス)を定義し、これに即した使い方のレクチャーを行っていく、といったことを実施する必要があります。導入初期にきちんとそのサービスをどう使っていくのかを握ると、その後の解約率も大きく変わることが実証されているプロダクトも多いのではないでしょうか?(少なくとも筆者には、その実体験があります。)

オンボーディングの基礎はこちら!

カスタマーオンボーディングの定義 オンボーディングプロセスの目的 オンボーディングプロセスを構築するにあたって重要なこと はじめに みなさん、こんにちは! 今回は、カスタマーライフサイクル、そしてカスタ[…]

リニューアル

いわゆる「契約の更新」です。

月単位または年単位での契約を更新する場合、多くのCSチームでは、顧客とコミュニケーションをとるケースが多いです。

オンボーディングの際に定義した「顧客のサクセス」を踏まえ、一定の期間経過後にどういった成果が出たのかを再確認することで、新たな契約期間における目標を再定義することにも繋がります。

アップセル・クロスセル

SaaSの製品の大きなキャッシュポイントがこのアップセル・クロスセルになります。

つまり顧客からより上位のプランに変更してもらったり、新たなオプション機能などを買ってもらうことで、顧客から頂く金額を上げていくアクションになります。

ここは極めてセールス的側面が強いので、企業によっては、アップセル、クロスセル(いわゆるカスタマーセールス)専門のチームを作っているケースもあります。

確かに普段「なんでも遠慮なく相談してくださいね」と言っているにもかかわらず、いざ相談したら毎度追加のオプション機能を提案してくるといったことが起きると、顧客の体験は必ずしも良いものにはならないかもしれません。

関連記事

アップセル・クロスセルの定義 アップセル・クロスセルの獲得に必要なアクション はじめに みなさん、こんにちは! 今回はカスタマーサクセス(以下、CS)において企業や事業の成長に非常に重要なアップセル・クロスセ[…]

カスタマーサクセスと営業職・サポート職との違い

営業との違い

「営業(セールス)」は、製品を売ることが目的ですが、CSは継続的に使ってもらうことで「顧客の成功」が達成されることが目的です。この点でいえば、営業では受注・失注が明確に決まり、また時間的なスパンも比較的短期でゴールは明確です。その一方でCSは、その伴走が中長期に渡ることがあるため、より中長期的な目線を持つことも必要でしょう。

CSは、期待値超えのアクションで魅せる!

仕事における期待値の重要性 カスタマーサクセスにおける顧客の期待値の捉え方 カスタマーサクセスにおける顧客の期待値を超えるアクションの具体例 はじめに -多くの仕事の評価は「期待値」で成り立っている- […]

サポートとの違い

「カスタマーサポート」との違いは、次のように受動的か能動的かの違いと表現されることが多いです。

カスタマーサポートの主な目的は、殺到する顧客の問題に対応することであり…それに対して、カスタマーサクセスは、データで予測することで先回りして顧客の困難を回避するものであ…る
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

つまり、「顧客のサクセス」が何かを知っているCSは、顧客から言われる前に、より顧客が必要としている情報やアドバイスを送れるはずだし、そうすべきであるということです。直感的にはその通りだと思います。

ただ、筆者の感覚的な見解ですが、多くの企業のCS職は、まだまだサポート部隊に止まってしまっていることが多いように感じられます。ここは、カスタマーサクセスという考え方を単なるバズワードで終わらせないために、とても必要な観点です。

CSのプレゼンスを高めるためには?

カスタマーサクセスの社内におけるプレゼンスの現状 カスタマーサクセスの存在価値の代表例 はじめに -カスタマーサクセスは不要?プレゼンスは低い?- みなさん、こんにちは! さて、先日以下のような調査結果が発表[…]

まとめ

今回はCSの基本の「キ」として、カスタマーサクセスとは何か、また営業職やサポート職との違いについてまとめました。次回以降でカスタマーサクセス職の各業務を深掘りしていきますので、お楽しみに!