どんなCSMもここからはじめる!カスタマーサクセスに必要な3種類の知識

  • カスタマーサクセスにおいて必要な3つの知識とは?
  • ぞれぞれの知識の学び方
  • それぞれの知識を組織内で浸透させるためのマネージャーの役割

みなさん、こんにちは!
今回は、カスタマーサクセス(以下「CS」)を始めるにあたって必要な知識を優先度別にまとめていきます。

カスタマーサクセスの担当者(CSM)として新たなキャリアを歩もうとされている方や異業種のカスタマーサクセスに転職される方にも役立つ情報になればと思います。

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全体像

今回、CSに必要とされる3種類の知識としてご紹介するのは、①自社プロダクト・サービスに関する知識と②顧客に関する知識、③カスタマーサクセスに関する知識の3つです。

①自社プロダクト・サービスに関する知識

自社プロダクト・サービスに関する知識が必要な理由

自分達が顧客に提供しているプロダクト・サービスの機能や使い方に関する知識が、カスタマーサクセスを実施する上で最も優先的にインプットすべき知識となります。

というのも、CSのミッションは、自分達のプロダクトやサービスを活用して、顧客の成功を実現させることにあります。そのため、実際にどういった機能、どういった使い方が目の前の顧客の成功に繋がるかを説明できることが、カスタマーサクセスの担当者(カスタマーサクセスマネージャー、CSM)に対する期待値のベースとなります。

自社プロダクトではできないことに、どう対応するか?

特にローンチして間もないプロダクトやサービスでは「できないこと」が多いのが現実です。
CSM
としては、そういった中でも顧客にサクセスしてもらうため、この「できないこと」とその対処策を紹介できるようにしておくことが重要です。
例えば、よくあるのは、以下のような提案です。

  • いくつかの既存機能を組み合わせることで、同様のことが実現できる
  • 他社のプロダクトやサービスと組み合わせることで、同様のことが実現できる
  • 顧客側の運用を工夫することで、同様のことが実現できる

自社プロダクト・サービスに関する知識の学び方

通常、自社プロダクトに関する情報は、その会社に世界一蓄積があるはずです。ヘルプページや「よくある質問」ページですね。CSMとしては、これらの情報を頭に入れつつ、実際にそのシステムを触ってみることが全てのスタートです。

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もっとも、ユーザーが増えてくると、実は自分達よりも顧客の方が当該システムやサービスの使い方をよく知っているという状態も出てきます例えばビジネスチャットで有名なSlackやオンラインワークスペースのNotionは、検索してみると公式サイト以上に有益な活用法を著したブログや動画が出てきます。

SlackやNotionまではいかなくとも、実際に顧客との対話の中で自社製品の使い方をアップデートし、CSMがこれを他の顧客に還元する流れ作っていけると良いでしょう。

 

「Notion 議事録」で検索した結果。公式以外にも多数の記事が公開されている

②顧客に関する知識

顧客に関する知識が必要な理由

顧客を知っていることがCSの存在価値だ!

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次に優先して頭に入れておきたいのが、顧客に関する知識です。

顧客に提供しているプロダクト・サービスは、特定の場面において顧客の課題を解決することに役立ちます。そんな顧客が、普段、誰とどういった業務を行っているのか、そこにどんな難しさがあるのか、時間を取られているかといった通常の業務のありようを知ることで、顧客のサクセスに向けたプランニングの解像度はグッと上がります。

例えば請求業務に関する課題を解決するプロダクトに筆者が携わる場合、まず以下のようなポイントを探ってみたいなと思います。

【顧客に関する知識を身に付けるための質問事項例(請求関連プロダクトの場合)】

  • いつ、どういった属性のメンバーが請求書を発行するのか?その理由は?
  • 請求書発行業務で面倒な作業はどこにあるのか?
  • 請求書発行に使っているシステムにはどういった種類があるのか?現場的なスタンダードはどれか。
  • そもそも請求情報に紐着く契約情報はどのデータベースにあるのかまたこのデータベースにはどういった属性のメンバーが情報を入力しているのか?
  • 請求書は紙での発行が主流なのか?その理由は?
  • 請求書送付に当たって誰の承認を必要としているのか?etc…

顧客に関する知識の学び方

BtoB向けのプロダクト・サービスを提供している場合、実際に顧客となる方々の業界、業種、職種に身を置いてみないとイメージが湧かないことがあります。toCのプロダクト・サービスを提供している場合であれば、実際にその利用場面に遭遇しないとイメージが湧かない場合もあるでしょう。

いずれも簡単に追体験できれば良いですが、そうではないケースも多いので、協力的な顧客、エバンジェリストへのインタビューで突っ込んだ質問をしていくのが解決策になるでしょう。

また、特にBtoB向けであれば、実際に当該領域の業務経験がある方(SpCSM)を中途採用するのも非常に良い選択肢でしょう。特にバーティカルSaaSと言われる特定領域に特化したプロダクト・サービスを展開する企業では、CSMの採用においてこうした戦略をとる企業も多い印象です。

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③カスタマーサクセスに関する知識

カスタマーサクセスに関する知識が必要な理由

自分の職種に関する知識が必要となるのは、言うまでもありません。
特に、カスタマーサクセスは関連する指標に横文字も多く、パッと覚えにくいため、一通りどういった指標があり、それらがどういった意味を持つのかなどを把握しておくことが良いと思います

ただ、あえて本記事で3番目の優先順位としているのは、特にキャリアが浅いCSMにとって重要なのは、CSという仕事を取り巻く理論や理屈ではなく、目の前の顧客との対話と伴走であると考えているからです。

今回のテーマにおけるマネージャーの役割

本記事に記載した3種類の知識のうち、優先度が高いものとして提示した①自社プロダクト・サービスに関する知識と②顧客に関する知識は、いずれも各社がオリジナルでまとめ、CSMが頭の中に入れておくべきものになります。

新卒・中途問わず新たに入社してくるメンバーが、そのバックグラウンドに関わらず少しでも早く一人前のCSMになるには、こうした知識をまとめ、会社・カスタマーサクセス業務へのオンボーディングの再現性を高めておくことが有用です。この土台となる「ナレッジベース」を作って、ここに知識をまとめていくことが、チームのマネージャーに求められることになります。

もちろんマネージャーが直接手を動かす必要はありません。実際に各CSMが学ぶ過程で、役に立ったという知識や媒体を記録していくのが、最初は効率的な方策と言えるでしょう。前掲したNotionなどのクラウドサービスであれば、ページを自由に作ることもできるため、比較的ハードル低く、ナレッジベースを作ることができます。

フェーズ別ナレッジの溜め方

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まとめ

今回はCSの業務を実施するに当たって、重視すべき3種類の知識をまとめました。

私自身の経験上も、これらの知識がきちんと頭に入って入れば、カスタマーサクセスの経験が少なくても、また異業種のカスタマーサクセスに転職した場合でも、比較的早く戦力になることができるので、「一人カスタマーサクセス」の段階から少しずつ情報を蓄積していくことをオススメします。