- アップセル・クロスセルの定義
- アップセル・クロスセルの獲得に必要なアクション
はじめに
みなさん、こんにちは!
今回はカスタマーサクセス(以下、CS)において企業や事業の成長に非常に重要なアップセル・クロスセルについて、その意味とCSとして関連するアクションをまとめていきます。
アップセル・クロスセルとは
アップセルやクロスセルの定義は、ビジネスモデルによって理解が若干異なっていることがあります。ここでは以下の通り、Salesforce社の定義を参考にします。
アップセル(Upselling)とは
Upselling is a sales strategy that involves encouraging customers to buy a higher-end version of a product than what they originally intended to purchase.
引用元:https://www.salesforce.com/eu/learning-centre/sales/upselling/
アップセルとは、特定のプロダクトに関する現在の契約に対して、よりハイエンドなバージョン・プランを契約すること(上記の定義では、これを促す戦略も含む概念)です。特定のプロダクトに付帯するオプション機能の販売は、通常「アップセル」の概念に含まれます。
クロスセル(Cross-selling)とは
Cross-selling involves selling related, supplementary products or services based on the customer’s interest in, or purchase of, one of your company’s products.
引用元:https://www.salesforce.com/eu/learning-centre/sales/cross-selling/
クロスセルとは、特定の製品への興味や購買を基礎として、関連する補助的な他のプロダクトやサービスを販売することです。
アップセルとの違いは、既に契約済みのプロダクトとは別のプロダクト(またはサービス)をその対象とする点です。
例えばCRMを購買する顧客に対して、マーケティングオートメーションツールを販売したり、営業支援コンサルティングサービスを販売する、といったイメージです。
ちなみに、エクスパンションとは
この定義も各社によって異なることがあるようです。一般に聞くのは、「Expansion MRR 」という表現で、アップセルもクロスセルも、既存顧客との契約に基づくMRRが伸長したことを全て含んだ概念となっています。
その一方で、アカウント(ID)ベースの SaaS では、プランのアップグレードや他の製品の購入ではない、単純なアカウント(ID)の追加による収益増を「エクスパンション」と表現することもあります。ただ、数字上はアップセルに含めて計算しているケースが多いと思われます。
カスタマーサクセスにおけるアップセル・クロスセルの意味
本ブログでは何度も言及している通り、昨今ではカスタマーサクセスはチャーン防止だけでなく、企業の成長のトップラインを伸ばすことへ貢献を求められています。
勿論セールスチームが、新規顧客を獲得してくることは非常に重要ですが、その一方で、アップセルにかかるコストは、新規顧客獲得よりも非常に小さくて済む(Frederick Reichheldが提唱したとされるいわゆる「1:5の法則」)と言われることから、(部署としてCSが担当するかどうかは別として)既存顧客からのアップセル・クロスセルが、効率的な成長の観点からも非常に重要になります。
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アップセル・クロスセル獲得のためにCSがやるべきこと
以下では、CSとして、既存顧客からアップセルやクロスセルを獲得するために必要となる一般的なアクションをまとめます。
カスタマージャーニーの整理
本ブログでも繰り返し引用している通り、契約頂いた既存顧客においても、カスタマージャーニーは非常に重要で、「アップセル」に関しては、顧客のジャーニーの一要素です。
このため、実際アップセル・クロスセルをする顧客が、どういった経緯を経てアップセル・クロスセルに至るのかをまずは整理し、仮説を立てていく必要があります。
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とはいえ、このアプローチは帰納的なものなので、少なくとも複数の顧客において実際にアップセルやクロスセルが発生しないことには仮説も立てにくいです。このため、まだ実績が少ない場合には、一定程度プロダクトを活用できている(≒アダプションフェーズにいる)企業に対して広く営業活動をしていくことが必要になると思われます。
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顧客の状況を可視化する
上記の通り、カスタマージャーニーがある程度整理されることで、どういった状態の顧客がアップセル・クロスセルしやすいのかという傾向が一定程度掴めるようになります。
これによって、アップセル・クロスセルに関して、CSが見るべき顧客の指標がはっきりして来ますので、これらの指標をCSがきちんと可視化できる状態を作りましょう。
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通常であれば、アップセルやクロスセルは、前提としてアダプションフェーズにいる顧客を対象としますので、ヘルススコアを見ておくことが必須になると思われます。そしてこれに加えて、プロダクトの特定の機能の利用状況などをトラッキングすることや担当CSの所感といった定性的な情報も併せて見ることで、組織としてより高い確率でアップセル・クロスセルを予見することが可能になります。
プロダクト内外でのアピール
アップセル・クロスセルを起こすには、まずマスの顧客に向けたアピールが必要になります。
その点では、メールマガジンなどでアピールをするのは当然ですが、プロダクト内で、アップグレードやプランアップが可能であることをきちんと見せることが有用です。アップセル商材となるオプション機能であれば、「この先の機能をお使いになりたいですか?2週間の無料トライアルもあります」といったメッセージを入れてみるイメージですね。
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そして顧客がアップセル・クロスセルしようとする場合には、当然プラスでお金を払うので、ROIを見ることになります。最終的には、個別企業に最適化したROI算出が必要になりますが、その前段階として、このアップセル・クロスセルをした場合には、どういった効果が出るのかがわかるコンテンツを用意しておくと良いでしょう。
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これによって顧客側で、契約内容を変更することで自分達にもたらされるベネフィットが何か、それはROIに見合ったものなのかを顧客自らで一考することが可能となるため、場合によっては商談効率を上げてアップセルを進めることが可能になるかもしれません。
まとめ
アップセルやクロスセルは、CSの企業への貢献度を決める重要な要素ですが、プロダクトの機能の成熟度、そして基本プランと上位プランのプライシングなどによってもその成果は大きく左右されます。企業のフェーズや課題の所在によっては、極めてセールスチームの売りやすさに偏重したプランメイクやプライシングがなされることもあり、そうなるとCSとしては、手の打ちようがない場合もあり得ます。
以上のような観点から、(やや本論とは離れてしまいますが)ここでご紹介したアップセルやクロスセルを発生させるための考え方や具体的アクションだけでなく、CSもオプション機能などのプロダクトのアップデート、そして価格の決定において積極的に意見を出すべきだと筆者は考えています。