- 「アダプション」の定義と意義
- アダプションの管理のために必要な要素・指標
はじめに
みなさんこんにちは。
今回は、オンボーディングプロセスを抜けた顧客が次に訪れる「アダプション」フェーズについて、カスタマーサクセス(以下、CS)にとっての重要性とともにご紹介していきます。
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アダプション(Adoption)の定義と位置付け
まず、アダプションとは、カスタマーライフサイクル(カスタマージャーニー)の中で、オンボーディングの次に位置付けられるフェーズです。
つまり、オンボーディングが完了して、プロダクト利用によってより高い価値を感じ、また成果を出してもらう段階を指します。通常の顧客はこのフェーズに滞在する時間が最も長いと思われます。
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アダプションの意義
リテンションモデルをとる SaaS においては、このフェーズで顧客にプロダクトの価値を感じてもらえるかが重要です。というのも、ここでプロダクトの価値を感じることがプロダクトの継続利用、利用拡大の大前提となるからです。
通常オンボーディングを完了したとしても、まだ顧客の感情は「このプロダクト・サービスを使えばサクセスを達成できるという見通しがたった」という程度です。プロダクトの価値を十分に感じているとは必ずしも言えません。仮にプロダクトの価値を必ずしも十分に感じてもらえていないのだとすると、次に控える更新時に解約されてしまったり、契約を継続したとしても、エクスパンションやアップセルが生じないおそれもあります。
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こういった中で、顧客がプロダクトの価値を感じる最も重要なきっかけは、当然ではありますが、当該顧客のサクセスの全部または一部が達成されることです。従ってアダプションフェーズでは、CSも顧客もサクセスの達成によりフォーカスしていくことになります。
その意味で、このフェーズは、CSにとっては勿論のこと、顧客にとっても非常に大きな意義のあるプロセスと言えるでしょう。
アダプションフェーズ管理の重要な要素・指標
上記の通り、重要な意味を持つアダプションフェーズが順調か否かは、オンボーディングと同様にCSがトラッキングできる状態にしておく必要があります。
この際に重要なのは、どの顧客にも適用可能な一般的な定量指標だけではなく、当該顧客がサクセスを実感できているか、という個別の情報も加味することです。本稿では以下の2つを必須の項目としてご紹介します。
①プロダクト利用のヘルススコア
まず、全ての顧客一般に適用される共通の指標として、ヘルススコアの活用が最も一般的でしょう。顧客がサクセスを達成するためには、プロダクトの活用が大前提で、利用していないことはCSにとってリスクとなります。このリスクをいち早く掴み、必要に応じて軌道修正をするために、定量的に状況を可視化できるヘルススコアが活用できます。
以下のページにあるように、プロダクトの望ましい使い方ができているかがわかる指標を作成して、各顧客が少なくとも一般的な観点で、プロダクトを使い込んでいるかをチェックできるようにしましょう。
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アダプションフェーズとヘルススコア
必ずしも明言されているケースが多くはありませんが、一般に(プロダクト利用の)ヘルススコアは、特にアダプションフェーズにおける各顧客の状態を掴む目的で用意するのが適切と思われます。
本ブログでも記載している通り、オンボーディングにはオンボーディング完了の判定基準を別途設けて管理しますし、それ以外のライフサイクルの各ライフサイクルにおいても別途指標を設けるのが通常ですので、最もヘルススコアが登場するのは、アダプションフェーズと考えておくのが良いと思われます。
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②サクセスの進捗
あくまでヘルススコアは、一般的なユーザーにおける活用状況を可視化するもので、これが良好であっても、 CSM としては「おそらく価値を感じてくれているのだろう」と予測するのが精一杯です。
このため、アダプションの本来の定義である「プロダクト利用によってより高い価値を感じ」ていることを確認するには、オンボーディングのプロセスで顧客から聞いた期待値や定めたサクセスへの進捗が順調か、既にサクセスし始めているかが重要ということになります。ここは完全に顧客ごとに見るべきで、 QBR の機会に個別にヒアリングをしたり、アンケートを取ったりすることで確認することになります。
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とはいえ、管理する観点では、全くの非定型情報のままでは難しいので、サクセスの進捗に関しては、サクセスの見通しが立たない〜数ヶ月以内に一部サクセスできる見込み〜サクセスしているといった複数の選択肢に、顧客の状態を当てはめて管理しておくのが良いでしょう。ここは筆者もより良いベストプラクティスを模索中です。
まとめ
本稿を作成しているときに改めて気づいたのですが、オンボーディングのフェーズに関しては、様々な文献や記事が多く見つかるのですが、その一方でアダプションに関しては、具体的方法論は必ずしも多くなく、日本でもこれから更に議論が深まっていくところと思われました。CSの中でもナレッジや方法論がたくさんシェアされると良いなと感じております!
(具体的な方法について、これは!というものをお持ちの方がいらっしゃれば、是非私にも教えてください!)