仕組み化して解決!セールスからカスタマーサクセスへの情報引き継ぎのポイント

  • セールスチームからカスタマーサクセスチームへの顧客情報の引き継ぎの重要性
  • セールスチームからカスタマーサクセスチームへ引き継ぎがれるべき情報の例

はじめに

みなさん、こんにちは!

今回は、 ザ・モデル(THE MODEL)において非常に重要な、受注後におけるフィールドセールス(以下、FS)からカスタマーサクセス(以下、CS)への顧客に関する情報の引き継ぎについて掘り下げていきます。

FSからCSへの情報引き継ぎの重要性

情報引き継ぎの重要性

SaaSのビジネスモデルにおいては、受注まではもちろんのことですが、プロダクトやサービスを継続して活用してもらうためには、受注後の伴走・サポートが非常に大切であることは、本ブログでも何度も記載している通りです(それがカスタマーサクセスという活動に結びつくのですが)。

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そして、受注後の顧客との最初のタッチポイントであるオンボーディングの打ち合わせでは、小さなことで顧客の体験を害さないことが非常に重要です。

特に受注後、オンボーディング前に顧客の情報が、FSからCSへきちんと引き継がれていることは、その筆頭で重要な事項です。この引き継ぎができていないと、誤った情報に基づいて話してしまったり、以前聞いたことを顧客に聞いてしまって、「それ、前も答えたのにな」と信頼関係を構築する段階にも拘らず、最初から顧客に不安を与えてしまうおそれがあります。

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情報引き継ぎの問題点

しかしながら、意外にも「FSから十分にCSへ引き継ぎがなされない」という話をしばしば耳にすることがあります。

というのも、受注がゴールであるFSには、継続的なサポートをするCSにとって重要な情報が何なのかが十分に理解されていないことがあるからです。これは、そもそも役割が異なることから生じる、ある種やむを得ない「認識の齟齬」でもあります。これを克服するためには、少なからず双方のチームで認識合わせをするコミュニケーションが必要であることは間違いないでしょう。

情報共有は、仕組みで解決!

もちろん、前述のようにFSCSとの間の認識の違いが、情報共有の不足を招いている可能性もあるため、その認識の差を埋めるためのコミュニケーションは必須です。

その一方で、FSも顧客の受注に心血を注いでいて忙しいため、この情報共有に必要以上の時間をかけることは現実問題として難しいでしょう。このような状況下では、まず情報共有の仕組みをしっかりと作り込むことが重要と筆者は考えています。以下記載していきます。

引き継ぎ時間を10分でも確保する

まず、情報共有はテキストベースでも十分実施可能なので、テキストによる情報の共有を中心に据えると良いでしょう。ただ、SalesforceなどのCRMに必要なメモを残し、これをCSが任意のタイミングに読む(ことで引き継ぎ完了)、といったスムーズなフローが機能するのは、組織と仕組みが成熟している企業の話です。

こうした習慣ができていない組織では、まず「引き継ぎミーティング」の時間を確保して、しっかりとメモ+口頭で情報共有する時間を10分でもとることをオススメします。

こうした機会は、FSのメモの整理不足や記入漏れを防ぐ効果もあります。この引き継ぎミーティングを一つのマイルストーンとして、FSが記入しきれていない情報や感じたことを記入することを促すことができます。間際になって CSM がメモを見て「あれ、これってどうなってるんだっけ?」と感じるようなケースも減少するでしょう。

引き継ぎが必要な項目を予め決める

前述のような打ち合わせの機会の確保に加え、CSが知りたい情報項目を事前に決めておくことも非常に重要です。これが決まっていることによってFSは迷いなく、効率的に過不足のない情報をCSに提供することが可能になります。ここでは、筆者が必須だと考える5つの要素について取り上げます。

①担当者や決裁者に関する情報(特に公開情報以外)

まずは顧客と信頼関係を築くために、その担当者や決裁者の名前や属する組織、役職など基本的な情報が欲しいところです。特に大企業の場合には意思決定のプロセスが複雑になるため、意思決定に結びつくコミュニケーションを見誤らない目的で必要になります。

ちなみに、上場企業の一定のレイヤーであれば、会社の組織図や日経新聞の人事異動欄にも部署や役職者(≒決裁者)名が記載されているので、引き継ぎを受けるのは、公開情報ではわからない部分だけで良いでしょう。

②FSからの提案の経緯

CSに担当が移行した後においても、契約内容が変更になる場合があります。(特にディスカウントして契約している場合には)そのロジックの共有漏れは、誤ったプランの提案に繋がり、顧客との信頼の文脈ではクリティカルなミスになり得るので、どういったロジックで通常のプランからディスカウントしたのか、などは明確に共有を受けておきたいところです。

また、既にFSが一度提案したものの採用に至らなかったプランやオプションがあれば、事前に知っておくことで、顧客において直近では採用の見込みのないプランやオプションを再度(無意味に)提案することもなくなります。

③契約する動機となった具体的課題

顧客が契約に至る背景となった課題や、それがなぜ今顕出したのか(解決する必要があるのか)といった契約の背景事情です。これはダイレクトにCSチームのサポート内容にも結びつくものですので、必ず引き継いでおく必要があります。

④顧客の将来の構想

前述の課題の裏返しでもありますが、もし商談時点で顧客が、具体的にプロダクトやサービスを通してどういった未来を思い描いているのかがわかるのであれば、これは是非とも聞いておきたいです。CSとしては、この情報に基づき、事前にどういったサクセスプランの提案が考えられるのか、精度の高い準備を行えるからです。

なお、この構想は、顧客のプロダクトやサービス理解の深まりとともに変わる可能性が高い部分なので、FSからも引き継ぎは受けるものの、筆者は敢えて顧客から再度直接聞くようにしていました。

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⑤FSから見た契約継続・拡大の温度感

そして最後に、FSから見た限りでの、今後の契約継続や規模拡大(アップセル・クロスセル)の可能性を掴んでおきたいところです。こちらも状況によって刻々と変化するものですが、少なくとも契約スタートの段階での温度感がわかるに越したことはないでしょう。

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まとめ

カスタマーサクセスチームがコミュニケーションの対象とするのは、あくまで契約後の顧客で、多くの場合はオンボーディングの打ち合わせが最初のタッチポイントになるでしょう。だた、今回取り上げたように、遅くともFSからCSへの引き継ぎの時点から、カスタマーサクセスの業務は始まっています。

こういった観点で、この情報の引き継ぎは実はカスタマーサクセスの最初の一歩なのかもしれません。もしオンボーディングプロセスの見直しの必要性を感じている方がいらっしゃれば、是非この引き継ぎの設計から考えてみると良いでしょう。