- カスタマーサクセスにおけるコンテンツの位置付け
- カスタマーサクセスにおけるコンテンツ戦略のポイント
- ジャーニー毎に適切なコンテンツの種類
はじめにーなぜCSにとってコンテンツが重要なのかー
みなさん、こんにちは。
サービスローンチから間もないプロダクトを中心に、カスタマーサクセスはハイタッチであることが多いと思います。筆者も同様の経験をしており、これ自体は決して悪いことではありません。ただ、この方法は、カスタマーサクセスの「労働集約性」を強めることにつながるため、注意が必要です。
例えば、一回1時間の顧客とのミーティングによってサクセスのプロセスを進めて行こうとした場合、1日8時間の就業時間では、どんなに頑張っても1日8社のサクセスしか進めることできません。これでは更に顧客が増えた場合の対処方法が「人を増やす」しかなくなり、コストの増加もさることながら、(生産年齢)人口が減少傾向にある日本では、人材の確保にも苦労を迫られることになりそうです。
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こうした観点から、ハイタッチの対義語として「ロータッチ」「テックタッチ」という言葉が使われます。これは、テクノロジー等を活用して、顧客自身でオンボーディングなどのサクセスのプロセスを進めることができるようにすることを指しており、まさにCSの人的リソースによらない、活動のスケーラビリティを高める取り組みといえます。テックタッチについては、別途まとめたいと思いますが、今回は同様にCSの人的リソースの限界を克服できる、ロータッチにおいて重要な役割を果たす「コンテンツ」の重要性をまとめていきます。
コンテンツ戦略のポイント
ライフサイクル別に、コンテンツの役割と設置場所を分ける
顧客がカスタマーライフサイクルのどのフェーズに位置するかによって、見たいコンテンツの性質は変わります。
逆に、見たい内容に対してノイズが多いコンテンツは、ユーザーの体験を害することになります。このため、後述するようなコンテンツの役割や活用場面をカスタマーライフサイクルに沿って定め、設置場所を分けておきましょう。
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とはいえ、それぞれを横断的に参照したくなることもあるので、それぞれのコンテンツへはリンクを貼って、必要に応じてユーザーが移動可能な設計とすることが望ましいでしょう。
ユーザーの関心が高そうなトピックから作る
コンテンツも SaaS のプロダクトと同様に、アップデートを前提として作成するべきものです。後述するとおり、作成しようと思うと様々な種類のコンテンツが作り得るのですが、もちろんその1コンテンツ毎に制作コストがかかります。
いきなり完璧なコンテンツ群を作るというよりも、特にユーザーの関心が高い(≒問い合わせが多い)コンテンツから作成していく方が、CSのリソースの節約に寄与します。
CSのスケーラビリティを高めるコンテンツ5選
①機能(仕様)紹介コンテンツ
掲載する媒体:主にヘルプページ用サイト(文章と動画)
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②ベストプラクティス紹介コンテンツ
掲載する媒体:自社WEBサイト(文章と動画)
機能をより効率的に使う方法を説明するコンテンツです。後述の導入事例などで表現できるユーザーの使い方は、どうしても断片的であったり、当該企業における特殊性が入ってしまうことがあることがあるため、紹介された活用法をやや一般化して、ヘルプページとの間を埋めるような位置づけと考えると良いでしょう。
これによって、顧客は自社にフィットしそうな活用法を自ら調べておくことも可能になります。これを前提にCSMが当該顧客にフィットするカスタマイズした使い方を提案すると、コミュニケーションとしても非常にスムーズでしょう。
③事例紹介コンテンツ
掲載する主な媒体:自社WEBサイト(文章と動画)
読んで字の通り、導入企業の事例コンテンツです。本来はマーケティング素材ですが、既存顧客にとっても有意義であることが多いと考えています。
前述のベストプラクティス紹介コンテンツで紹介された使い方を、顧客がどのように実務に落とし込み、どのように感じているのか、本当に便利なのか、を「顧客が話した生の声」として伝えることができます。
導入事例を通して、顧客の推進者(チャンピオン)は、規模や業界など属性や環境面で自社に近い企業を探し出し、これが自分たちにもフィットするのではないかと仮説を立てて検証を進めることができるようになります。場合によっては、この事例に出ている方の話を聞いてみたい、と感じて横の繋がりを形成し、コミュニティづくりのきっかけになる可能性もあります。
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最近は数分の短い動画でお客様に実際にお話いただくというコンテンツも増えています。第一義的にはマーケティング施策のため、導入後のユーザーが得たい情報(詳細な使い方など)としては少々もの足りないと感じることもあるでしょう。CSとしては、事例もさることながら、実際に使い方を詳しく掘り下げることのできる勉強会形式のウェビナーの方が効果的かもしれません。
④新機能紹介コンテンツ
掲載する主な媒体:自社WEBサイトまたはヘルプセンター(文章と動画)
SaaSにとっては生命線と言える、アップデートされた機能をフィーチャーしたコンテンツになります。
多くのSaaSで、新しい機能が出てもユーザーに届いていないという悩みが多い中で、まずは新しい機能を紹介する場所を確保すると良いと思われます。情報のシェアもしやすくなるのでオススメです。
「リリースノート」と呼ばれる機能リリースを紹介するコンテンツと、これらの新機能のベストな使い方を示すベストプラクティス紹介コンテンツを使って、開発背景などとともに新機能のポイントを示せると良いでしょう。
⑤潜在的な課題を伝えるコンテンツ
掲載する主な媒体:オウンドメディア(文章中心)
規模や業界など属性や環境面で自社と近い方が抱えがちな課題を掲載するコンテンツです。基本的には、マーケティング施策に用いられる(ナーチャリング)コンテンツの位置付けとなるため、オウンドメディアという形式でこういったコンテンツを展開している企業が多いです。
カスタマーサクセスとしては、アップセル・クロスセル商材で解決可能な課題をこのコンテンツで紹介することができれば、次なるアップセル・クロスセル繋げることができるでしょう。とはいえ、無理やり課題を作りに行くようなアクションになると本来のカスタマーサクセスの業務の意味合いとは異なってしまうので注意が必要です。
現状のプロダクトを使いこなしているユーザーに対して、近い将来に直面するかもしれない課題をこのコンテンツで紹介するというコンセプトでこういったコンテンツを展開できると非常に良いですね。
まとめ
日本でもテックタッチに関する情報が少しずつ増えてきていますが、どのBtoBのプロダクトも多くはハイコンテクストで、全く人の手を介さずに導入を進めるのは中々難しいと感じることも多いのではないかと思います。
そういった中では、ユーザー側の事前知識を補強するコンテンツは重要な役割を担います。自分も何本も上記で紹介したようなコンテンツを(現在も)作成していますが、ハイコンテクストがゆえに、中々コンテンツを作るのは簡単ではなく、外注できる範囲も限定的であることを感じ、日々苦闘しています。
上記でも記載したように、最終的には網羅的にコンテンツが準備されていることが重要ですが、SaaSプロダクト同様に、アップデートしていくことを前提に、まずは多くの顧客にハマると思われるコンテンツから用意していきましょう!