- カスタマーオンボーディングプロセスが遅延することの重大さ
- カスタマーオンボーディングプロセスが遅延することの主な原因4つと、その対策
はじめに
みなさん、こんにちは!
カスタマーサクセス(以下、CS)にとっての重要業務であるカスタマーオンボーディング。それにも拘らず、様々な理由でプロジェクトに遅れが出ることがあるのではないでしょうか?今回はその防止策をご紹介します。
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オンボーディングプロセス遅延の重大さ
まず、オンボーディングとは、契約したプロダクトやサービスを使って、実際に顧客が志向するサクセスを達成するための、いわば準備期間です。ただ、実質的にはこれにとどまらず、顧客が志向するサクセスが何かを改めて認識し、その上で「このプロダクト・サービスをそのサクセスに向けて使い続ける価値がある」と実感してもらうための非常に重要なプロセスです。
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このため、このオンボーディングプロセスの遅延は、プロダクトやサービスの価値実感のタイミングを単純に先送りしてしまうこととも言えます。
その裏返しで、多くの CSM の方が実感がある通り、オンボーディングプロセスでの遅延は、実は立て直しが困難で、最悪の場合にはチャーンを引き起こすことにも繋がるのです。
では、この遅延はなぜ引き起こされてしまうのか、以下で、原因4つと対策をご紹介します。
①そもそも「何を、誰が、いつまでにやるか」が伝わっていない
問題点の概要
非常に単純で、そもそも顧客にオンボーディングプロセスの全体像と具体的にやるべきタスクが伝わっていなければ、顧客にも遅延の意識は生まれようがありません。言い換えると、顧客との間で情報伝達がうまく行われていない状態とも言えます。
問題点への対策
対策方法は非常に簡単です。情報を「見える化」することに尽きます。
具体的には、オンボーディングプロジェクトについて、以下の点を明確に伝えることです。
- 顧客がやらなければならないタスクは具体的に何か、
- そのタスクはいつまでに実施する必要があるのか、また
- そのタスクは顧客のうち誰がやる必要があるのか
この見える化の手段は、エクセルでもプロジェクト管理ツールでも構いません。いつまでに、何を、顧客がやらなければならないかが伝わればOKです。ただ、一つ付言するとするならば、この際、後述するような分析の観点から、実際に完了した日もわかるようにしておくことにも取り組みたいところです。
顧客は「お客様」なので、もちろん過度な負担をかけるのも筆者としては、少し違うと感じますが、その一方で、サクセスするための責任は、顧客側にもあるのも事実です。サクセスを掴むために必要なタスクをしっかりお伝えして、遂行してもらう仕組みを作りましょう。
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②顧客の熱量が、今ひとつ上がってきていない気がする
問題点の概要
通常、顧客は契約時が最も熱量が高く、モチベーションが高いはずです。そういった中で前述のようにやるべきタスクを明確にしても、上手くプロセスが進行しない場合には、顧客側の熱量が下がっている可能性があります。
その原因として考えられるのは、導入前に必要と認識していたタスクと実際に契約後にやるべきことの間に(量的、質的に)ギャップがあった(もっと簡単に始められると思っていたのに、違った)ということです。
問題点への対策
まず、導入前に顧客に伝わっている情報と、実際のオンボーディングプロセスの内容が異なっているのであれば、これはセールスチームを含めてしっかりと共通認識を作る機会を設けましょう。
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上記に加えて、顧客が、なぜこのプロセスが必要なのか理解できておらず困惑しているケースもあるかもしれません。そういった兆候が見られるなら、一度、各プロセスやタスクの意義を併せて説明する機会を設けましょう。例えば、「大体これくらいの時期に他社様も疑問が生まれてくるので、これを解消する趣旨でミーティングを入れさせて頂いています」といったイメージです。
停滞するプロジェクトを前に進める方法は?
最もCSMとして助かり、また組織にとっても健全なのは、窓口で先頭に立って推進している担当者がモチベーションを持って進めることです。このため、担当者のモチベーションに揺らぎを感じたら「あなたは今、先進的な素晴らしい取り組みをしようとしている」といった趣旨の応援を多少強調してしてみましょう。こういったモチベートする言葉は、意外に励ましになったりもするので重要です。
ただ、もちろんいつもそれが効くとは限りません。なおもプロジェクトの進行が芳しくない場合には、管理職や決裁者クラスを改めて巻き込み、組織の力学を使って「上から」進めていくことが必要になります。
③顧客側の事情で、優先度が下がった
問題点の概要
顧客側が「忙しい」ことを原因として、オンボーディングプロジェクトが前に進まなくなっている状態です。もちろん本当に突発的な事情で工数が割けないというケースもあるとは思いますが、後述の通り、実際には、CSM側の想像力で事前に対処することができるケースの方が多いのではないかと考えています。
問題点への対策
繰り返しますが、実は事前にオンボーディングの優先度が下がる(忙しくなる)原因を、CSMが予測できるケースが多いです。
例えば、一番よくあるのは年度末、半期末などの経営レベルの季節イベントがある場合です。もし、オンボーディングプロジェクトとこうした経営イベントが時期的に重なる可能性があれば、初回の打ち合わせ時に、重なっても問題ないのかを確認する方が良いでしょう。
その一方で、顧客固有の事情は、流石にCSMも予想しきれないことも多いです。こうした事情が「不測の事態」とならないためには、むしろスケジュールを握るタイミングで直接顧客に「仮に、この想定スケジュールが遅れる可能性があるとしたら、その理由にはどういったことが現段階で予想されますか?」と確認してみるのがオススメです。
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モチベーションの高い顧客が、積極的にタスクを増やしちゃう問題
契約直後の顧客は、改善や変更へのモチベーションが高い傾向にあります。このため、みなさんのプロダクトやサービスを導入する「ついで」に、顧客側で追加のタスクを積みたくなってしまうことがあります。例えば、CRMを導入しようとしているが、この際一緒に紐づく契約書の整理もしてしまいたい、といった具合です。
もちろん顧客の意欲を必要以上に削ぐ必要はないですが、並行して進めることの困難さが予想される場合には、しっかりとその旨を伝え、全体的な行程のマネージをCSMが率先してできると良いでしょう。
④おおもとのスケジュール自体に無理がある
問題点の概要
最後に元も子もないですが、上記の点をチェックしても、なお想定しているスケジュール通りに進まない企業が(体感ですが)3割を超えるような場合には、そもそもスケジュールに問題がある可能性が高いため、見直す必要があるでしょう。
問題点への対策
この場合にはスケジュールを見直すに当たって、具体的にどこで遅れが出てしまっているのか、しっかりと分析できるのが望ましいです。
つまり①で言及した、エクセルやプロジェクト管理ツールなどの記録を参考にし、どこのタスクで顧客が遅れてしまっているのかの傾向を捉えられると良いでしょう。
まとめ
プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、利害関係者が増え、これによりプロジェクト進捗のコントロールが難しくなることがよく発生します。CSMとしては、そういった要因を無視して強引にオンスケで進めるということよりも、障害となり得るイベントを早めに察知し、必要に応じてその中での優先順位づけのサポートをする(場合によっては盛り立てる)といった総合的なマネジメントが求められるのではないでしょうか。
参考になれば嬉しいです!