- カスタマージャーニー(ライフサイクル)の中におけるヘルプページの役割
- ヘルプページと他のコンテンツとの役割分担の考え方
- ヘルプページ作成時のポイント7選
はじめに
みなさん、こんにちは!
ヘルプページ作成は、カスタマーサクセス(CS)の業務範囲にはないという企業も多いのではないでしょうか。その一方で、下記の記事でも言及した通り、受注後のジャーニーにおいてユーザーが一番最初に、かつ多く触れるコンテンツがヘルプページになります。
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今回は、そういったCSの業務に非常に密接に絡み、また重要なヘルプページ作成時の注意点をまとめていきます!
ヘルプページとは
プロダクトのヘルプページとは、プロダクトの仕様を中心に解説する使い方説明書・マニュアルのことを指します。
従来の売り切り型のシステムであれば、基本的に仕様はリリース時から変わることがないため、ヘルプページは主に使い始めのユーザーだけが見るものでした。しかし、クラウドサービスでは、断続的にプロダクトのアップデートが続くため、初期ユーザーから使い慣れた方まで、どのフェーズにいる方でも閲覧するものとなりました。
断続的にプロダクトのアップデートが続くことの裏返しで、プロダクトの提供側も絶えずヘルプページの更新を行う必要が出てきました。顧客にプロダクトの現状の仕様を正しく伝えるという観点で、ヘルプページの重要性は従来に比して大きく上がったといえます。
ヘルプページ作成のポイント -全体構成編-
① ヘルプページに記載するのは、機能の仕様だけ
前述の通り、ヘルプページは「使い方説明書・マニュアル」なので、記載するのは「このボタンを押すと、こういう挙動をします」という機能自体の説明が基本的な内容となります。
もちろんユーザーとしては、「この機能」がどういった場面に効果的な機能なのか、この機能の上手な使い方はどういったものなのかといった使い方Tipsも気になるところではあります。ただ、ここまでヘルプページに記載してしまうと、1つのページの分量が膨大になり、却ってユーザーにとってノイズの情報が増えてしまいます。あくまでヘルプページは機能の仕様説明に留め、使い方Tipsは別のページに記載し、リンクを貼るような形が望ましいでしょう。
② 「一機能、一ヘルプページ」で重複は避ける
上記の通り、ヘルプページに記載するのは機能に関する情報のみです。このため原則として一つの機能に対して、一つのヘルプページを作成していくことが望ましいです。
もっとも次のようなケースには注意が必要です。
例えば、機能Aを説明する際に、別ページに記載されている他の機能Bの仕様が前提となっている場合。この時に、機能Aのページに機能Bの説明を再度記載してしまうと、機能Bの説明が複数箇所に記載されることになります。こうなってしまうと、機能Bに仕様変更があった時に、メンテナンスの手間が倍になりますし、そもそもメンテナンス対象のページが掴めなくなる可能性があります。
この意味でも、1つの機能について説明するページはその1ページだけに止める方が良いでしょう。
③ 機能間の比較や特定の場面の解説は「よくある質問」に集約
CSやサポート対応をしていると、「よく聞かれる質問」が出てきます。こうした質問は、可能な限りヘルプページを参照することで、ユーザーによって自力解決してもらうように促したいところです。
機能ベースで構成されているヘルプページにおいて、こうしたよくある質問は、各機能のページの説明を充実させることで対処可能です。一方で場合によっては、似たような機能を比較したり、特定の場面に遭遇した時の手順という切り口で説明する方が、ヘルプとして効果的なケースもあります。
例えば前者であれば、プロダクト内の各種権限でできることの違い、後者であれば「ログインするためのパスワードを忘れてしまった時」など、特定の場面における解決手順が挙げられます。
こうした繰り返し聞かれる質問への回答は、通常のヘルプページの章立てとは別に、「よくある質問」としてページを切り出しておくと良いでしょう。
ヘルプページは勿論、プロダクトの使い方を知りたいユーザーを、第一の想定読者として作成するものです。
もっとも、筆者の経験では、例えばQA・デバグチームが機能の本来の仕様を知りたいときや、新しくジョインしたメンバーがプロダクトの仕様をスムーズに理解するための教材としても非常に効果的な役割を果たしました。
特にプロダクトが成熟し、メンバーがどんどん増える中で、ヘルプページの「よくある質問」は、提供側が質問対応をするための手控えとして非常に有用です。
④ 気になった時に、ヘルプページが「すぐそこにある」ように
ヘルプページは、作るだけで満足しても意味がなく、たどり着いて、読んでもらわないことには始まりません。
言い換えるとユーザーがプロダクトの仕様を知りたいと感じたり、疑問を感じた時にすぐアクセスできるようにしておかなければなりません。
このため、このヘルプページへの導線(URLリンク)は、プロダクト内は勿論のこと、顧客に配布するオンボーディングの資料、CSチームから渡すプロダクトのマニュアル資料の中など、さまざまな場所に設けると良いでしょう。
ヘルプページ作成のポイント -個別ページ編-
⑤ 一操作、一文で記載する
当然ですが、各ページの内容は、パッと見てすぐにわかることにすることが必要です。そのための要素はいくつかありますが、最初の一歩として非常に重要なのが、ページ内の説明を、まるで箇条書きのように、一文一文を端的に短文で記載していくことです。
筆者がヘルプページを作成するときに強く意識していたのは、使い方説明を記載する場合に、一つの操作を一つの短い文で書くということでした。これが上手くできない場合には、いくつかの操作を一気に説明しようとしていたり、そもそも自分自身の機能の理解が甘かったりしていることがあるので、セルフチェックという観点でも良い習慣づけだったと思っています。
⑥ ビジュアルでユーザーの即時理解を促す
本来、ユーザーはすぐに使い方を知りたくて、文章を読み解く作業すらしたくありません。
そういった観点から見た時に必要なのは、即時に理解しやすい画像や動画です。最近はキャプチャや動画、gifを多用するヘルプページも増えてきました。大まかなプロダクトの動かし方を知りたい方にとっては、画像や動画の方が適切なことが多いでしょう。
とはいえ、細かい仕様を解説する際には、文字情報が必須にはなります。目的に応じて効果的に活用することが重要でしょう。
⑦ ググっても見つかるヘルプページにする
前述の④とも繋がる部分ですが、ユーザーが困った時には、まずGoogleなどの検索エンジンから直接検索しにいくことがあり得ます。この際にちゃんと検索結果として、ユーザーの質問に答えるヘルプページが表示されるのがあるべき姿です。
筆者も最初にヘルプページを作成した時には、ヘルプページ内での回遊を想定しており、自然検索からのアクセスの観点が抜けていました。ユーザーの方から「引っ掛からなかったんですよね」と指摘されてハッとしたことがありました。こうした検索エンジンからの直接検索も念頭に入れて、ヘルプページのタイトルや各ページには、検索キーワードとして入力されるような言葉を漏らさず盛り込むようにしましょう。
前述の通り、自然検索流入ばかりを意識すると、言葉遣いが冗長になったり、余計なキーワードが増えて、実際にそのページを読む方にとってノイズが増えてしまいます。
この塩梅が非常に重要ですが、例えば、念の為入れておきたいキーワードがある場合には、潔く末尾など邪魔にならない場所に「関連キーワード」の項目を作り、そこに当該ヘルプページの本文には盛り込めなかったキーワードを記載しておくと良いでしょう。
まとめ
ヘルプページ作成・更新の作業などは、ある意味非常に地味な作業ではありますが、前述の通り更新が頻繁なクラウドサービスにおいては、ユーザーにとってアップデート内容をキャッチアップするための重要な手段です。
提供者側としては、直読直解できるような構成にできるように、目次や見出しにも可能な限りこだわって作成していきたいですね!